MENU

【日本人の多くが会計を苦手にする理由はコレです】~会計はビジネス・経営に必須のツールなのに~


会計はビジネスに必須のツールです。
事業をする方にとっても、もちろん必須です。 

しかし、現実問題としてビジネスマンはもちろん、中小企業では社長レベルでも会計知識がない社長がむちゃくちゃ多いのです。 

「では、そもそも会計とは何なのか?」
「なぜみんな会計が苦手なのか?」

を解明して、「実は会計は簡単なのですよ~」というのをわかってもらって、会計に少しでも親しみをもって、ビジネスマン特にベンチャー起業家・中小企業社長の方に会計の勉強をしてもらいたいというのが今回のブログの趣旨です。 

目次

目次

  1. 会計ってそもそも何? 
  2. 会計という学問の中身 
  3. 会計の歴史 
  4. 会計は実は簡単な理由 
  5. なぜ会計が難しく感じるのか 
  6. 会計を勉強したらどうなる 

1.会計ってそもそも何? 

会計という言葉を辞書で引くと、2つ出てきます。

① 代金の支払い。勘定  
②金銭の収支や物品・不動産の増減など財産の変動、または損益の発生を貨幣単位によって記録・計算・整理し、管理及び報告する行為。また、これに関する制度。
(出典 goo辞書) 

このブログでお伝えしようとしている会計は②の方です。

辞書で引いてもわかりにくいですね。
何を言っているのかわかりません。 

実はこれが会計なのです。 

②を簡単に言えば、ビジネス上の取引を記録して計算・整理して報告する行為をいいます。

つまり取引情報を記帳→集計→報告する技術をいいます。

何となくイメージできますでしょうか? 

なぜこれが必要になるかというと、「ビジネスは結果=数字で評価される」これなのです。 

ビジネスは、人柄がよいとか、あの人が好きだとか嫌いだとかでは評価されません。
会計から算定される数字が唯一の評価基準なのです。 

ビジネスではこれしか評価できないのです。 

社長の実績もこれで評価されるのです。 

2.会計という学問の中身(会計学の範囲)

会計とは会計学という学問のひとつです。 

会計は4つの学問からなります。
(簿記論 財務諸表論 原価計算論 監査論)

① 簿記論は記帳の技術を教える学問です 。
②財務諸表論は会計全体の理論を教える学問です 。
③原価計算論は主に製造業など、ものを加工する業種において、その原価を計算する理論と技術を教える学問です。
④監査論は公認会計士などが、上場企業や大企業を会計監査する場合の理論です。

このように会計といっても4つの学問からなって複雑です。

中小企業において必要なのは④以外で、製造業・加工業以外(サービス業・小売業・卸売業)は①の簿記と②の財務諸表論が必要です。さらに実務では②の財務諸表論は簡単なポイントだけ覚えるだけで大丈夫です。
あくまで主体は簿記です。 

ですから、以後会計といえば主に簿記だと思ってください。
その理由は以下の会計の歴史にあります。 

3.会計(簿記)の歴史 

会計(簿記)は古くからの慣習が発達したものです。 

会計の歴史は、3000年前のエジプト文明から帳簿の存在が確認されており、それ以後実務の中で徐々に発展してきました。 

簿記の体系として初めて出現したのは、北イタリアで、1494年数学者のルカ・パチョーリにより「スムマ」という数学の教科書の中で発表されたのが最初です。

全600ページの書物の中のわずか27ページですが、ここに現在の簿記の体系の原型が凝縮して記録されています。 

しかしこれとて、ルカ=パチョーリ自身が発明したのではなく、商人の間で広まっていた帳簿の記帳技術を書物にまとめたものでした。 

しかしこれが紙で初めて世に表されたのですから、画期的でした。 

会計はこのように商人の間で実務をベースに慣習として発展し、それを理論づけて発達してきました。
実務が先で理論が後というのが、会計という学問の特長です。

順番からいえばまず「簿記」という記帳技術があって、そこに「会計学」という理屈が くっついて行って、今の「会計」という学問ができたと考えてください。 

会計学者に怒られるのを承知でぶっちゃけて言うならば、理屈より実務が大切な学門だと思います。 

だから、理屈は偉い学者にまかせて、会計といえば「簿記」と覚えてください。 

4.会計が実は簡単な理由 

1.会計の基礎は中学レベルでわかる 

会計は四則演算(たし算 ひき算 かけ算 わり算)でできる簡単な計算から成り立っています。

電卓を使って計算して、計算した数字を簡単なルールにしたがって左右移動させて記入して、最後はたてに、たし算で集計する。これだけです。

2.会計は入口さえうまく入れば、後は繰り返しです。
徐々に新しいことを積み上げて行くだけです。

3.会計の最後の仕上げは、BS(ビーエス)とPL(ピーエル)という二つの箱の理解、たったこれだけです。 

5.なぜ会計が難しく感じるのか 

 1.日本人はどうも数字に苦手意識がある。

日本人は儒教思想の問題なのか?わかりませんが、お金を不浄のものと扱い、「お金について語るな」「数字について語るな」というような暗黙の了解や意識が、そもそもの日本人に備わっています。

お金を計算するのは、影でこそこそとするというのが国民の数字意識のじゃまをしていると私は考えます。 

その話しを裏付ける一例をお話しますと、日本の江戸時代に近江商人の中で、西洋の簿記とはまた違った日本独特の記帳技術があったと、学者の研究でわかっています。
日本に西洋の複式簿記が入ってきたのは1873年の福沢諭吉さんの翻訳本だと言われています。
しかしそれ以前の江戸時代に、西洋とは集計の方法は違っても、最終の決算書は西洋のものと同じような型のものがあったということが最近わかってきました。 

有名なところでは近江商人の中井家に伝わる帳簿です。
家の秘伝だったそうです。

日本人はこの帳簿作成の技術を商売の秘伝として、その家の代々受け継がれて行ったということです。

しかし、中身の数字はもちろん秘伝でも、せめてその技術だけでももっとオープンにしていれば江戸時代の経済はもっと繁栄したことでしょうね。

 2.90%の人は一生簿記に触れない日本の教育 

簿記の授業は中学ではもちろん、高校でも商業高校以外では全く習いません。
大学でも商学部・経営学部以外はほとんどありません。(ちなみに私は経済学部でしたが簿記は選択必修で単位を取りました) 

このように日本の教育ではほとんどごく一部の人しか生涯簿記に触れません。 

ちなみに日商簿記3級の受験者は毎年30万人程度です。
合格者は平均50%として年間15万人。
これだと40年経っても累計600万人です。 

片や日本の労働人口は約6,500万人位です。
かなりおおざっぱな計算ですが、この数字を比較しただけでも簿記3級保持者は労働者の10%もいないということがわかりますよね。 

さらに社長の人口は、現在事業者数が個人事業も含めて350万社位なので社長の数は350万人になります。


仮に社長の中で簿記3級保有者の割合が、全体の比率と同じ10%として、社長だけで言えば100人に10人程度しか簿記3級保有者がいないということになります。

もう少し甘くみて、社長だからもっと比率が高いだろうと計算して仮に20%としましょう。それでも社長100人に20人程度しかいないことになります。

私の30年の実務の実感で言えば、中小企業の社長では、簿記3級はほとんど持っておられませんね。もちろん大企業の社長はもっておられますが。

私は以前から主張していますが、中学の時点で簡単な簿記は教えるべきだと思っています。 

中学が無理ならせめて高校の普通科でもと思うのですが、実現するのははたしていつのことでしょうか? 

3.習うより慣れろ式の簿記教育・入口でつまずく

簿記の教育の仕方にも問題があります。
私は実務指導と並行して、簿記の講師も10年やっていましたが、簿記3級の授業では、約半数の50%の方は入口でつまずくのです。 

なぜつまずくのかというと、簿記に出てくる「仕訳」というルールの習得につまずくのです。 

ルール自体、それほどたくさんの決まり事があるわけでもなく、簡単なのですが、ここで何故?という感じで考え込んでしまうと、その先一歩も二歩も進まなくなるのです。 

実は簿記はこの「仕訳」の習得がヤマなのです。
ここを押さえればあとはスイスイいくのですが、仕訳で余計なことを考えて考えこんでしまうと「もうイヤ」となるのです。 

簿記は商人の「慣習」「習慣」から始まったので、最初の仕訳にそれほど深い意味はありません。
なぜ左なのか?なぜ右なのか?そう最初に決めたからに過ぎません。 

良い講師はこの当たりをじっくり説明します。
しかし多くの講師はこのあたりを「練習すればわかる」といって「身体で覚えろ」式の教え方をします。 

確かに繰り返し練習すればそれで行けるのですが、そうでないタイプの人もいますので、その方にとっては納得できないでしょう。それで勉強するのをやめてしまう。
おそらく社長になる人の多くは「考えるタイプ」だと思いますので、ここで挫折するのです。

以上のような、 
①日本人の特質 
②一度も学校で触れない教育制度
③身体で覚える式の簿記教育 

上記3つの理由が、日本に簿記会計が浸透しない理由だといえます。 

6.会計を勉強したらどうなる?

 簿記会計は経営と密接です。
なぜなら、元々商人が「商売上必要だから簿記を考案した」のです。
14世紀~15世紀以降、イタリアで花開いた簿記の技術はヨーロッパ全土への拡大によって経済が飛躍的に発展しました。
資本主義経済は簿記の発展とともにあったと言っても過言でありません。 

ドイツの文豪ゲーテは自身の小説の中で、主人公にこう言わせています。
「商売をやっていくのに、広い視野をあたえてくれるのは、複式簿記による整理だ。複式簿記が商人に与えてくれる利益は計り知れないほどだ。人間の精神が産んだ最高の発明の一つだね。立派な経営者は誰でも、経営に複式簿記を取り入れるべきなんだ。」(ヴィルヘルム・マイスターの修業時代より) 

因みに私が「簿記」と言っているのは、正式には「複式簿記」といいます。 

これについてはまた今後説明いたします。 

具体的に簿記会計には、経営をする上で以下の2つの役割があります。

  1. 会社を倒産から守る。 
  2. 会社の業績を伸ばす。 

簿記会計は実は経理マンのためだけにあるものではないのです。 

事業を遂行する経営者(社長)のためにあるのです。 

つまり経営というのは、
P(Plan計画)D(Do 実行)C(Check検証)A(Action 改善)→PDCAを回すことです。

このPDCAは、数字言葉行動で回すのです。
ここで出てくる数字が会計という技術によって出た数字なのです。 

ですから会計がわかると、このPDCAのすべての数字について理解できるようになるのです。
よく中小企業で間違われるのが、「税理士さんに数字のことは任せているから」とかいう話をされる社長さんがおられることです。 

これは「完全な誤解」です。

税理士さんが作成されている数字は「税務申告」のための数字であって、「経営」のための数字ではないのです。

会計事務所は普通そこまでやってくれません。
数字を出す目的が違うのです。 

経営のための数字は、会社で出さなければならないのです。 

残念ながら日本の中小企業でPDCAができている会社は、10%~せいぜい20%の会社です。 

80%の会社はこれができていないどころか、この仕組みすら知りません。残念なことです。 

でも逆にいえば、これから会計を勉強しさえすれば、この10%~20%の会社のグループに入れるのです。 

業界で10年後生き残れる企業は10%です。
つまり100社あれば10社です。

ところが現実には100社あっても実際に戦っているのは20%の20社と考えてください。
上位20社だけがPDCAを回して経営しているからです。
他は言っては悪いですが、いずれ消えて行く会社です。 

その理屈でいえば、会計を使ってPDCAをして20社に入りさえすれば、その50%の確率で残りの10社に入ることができて、10年後生き残れるのです。
厳しい世界ですが、考え方をこのように変えてみてください。 

会計を使って経営をすれば、生存確率が全体の10%から50%に跳ね上がって、この20社の中に入れるのです。
もちろん最終的には最後の10社の中に入るのです。 

どうです! 

会計って素晴らしいと思いませんか? 

このブログでは、これから経営に役立つ「社長のための会計」をどんどん連載して行きますので、ぜひ簿記会計の習得のために役立ててください。 

では皆さん、またお会いしましょう。 

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次
閉じる